トラペグ工房

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【CoCシナリオ】覆われた村

【概要】

難易度:★★★★(PvPの場合は★★★★★★)

ジャンル:現代、半クローズド

プレイ時間:2~4時間程度

推奨人数:3人程度

推奨技能:目星、歴史

推奨職業:大学生、教授など

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【導入】

 季節は秋口の頃、単位の補填、学術的興味、課外授業、廃墟巡りなどの理由から山奥の廃村を調べることになった探索者達。 大学生なら自分の進級や卒業がかかっている、教授なら次年度の予算がかかっている等の理由付けをしたほうがRPがイキイキするので、ある程度の強制力をもたせることをオススメする。

 導入時に廃村の情報を持ってくる役として探索者の知人であるNPCを登場させる。彼の目的はグラーキの従者達に囚われた友人たちの奪還である。導入に組み込める趣味(民俗学、廃墟巡りなど)を持った彼は一度香桐沼に行きそこで友人達と共にグラーキの従者達に襲われた。彼だけがなんとか逃げ出すことに成功したが、テレビや警察に届けたところで無駄だろうと考えあなた達探索者を利用することにした。この情報は彼に対して『心理学』『言いくるめ』『説得』『信用』のうちいずれか1つに成功することでいつでも引き出すことができる。

 ※ハウスルール紹介

 『値切り』を値段交渉のための技能としてではなく、買い物の上手さ(買い出しに出たは良いが、良い物、まともな物が買えたかどうか?)の判定として使う。

 

一般的廃墟探索装備

・軍用ブーツ(5,000~10,000円)

 ガラスの破片や割れた板材、金属片などから足元を守る。安物だと防御面などに不安が残る。判定的には足元のトラップダメージ軽減、『跳躍』判定失敗時のダメージ軽減などだろうか?『キック』の威力を上昇させても良いかも…?

 

・長袖長ズボン(ピンキリ円)

 半袖半ズボンだと地獄を見る。とはいってもただの廃墟探索、それ程気合を入れる必要はない。でもあえてタンクトップとかだと男らしいよね。まともな服装でない場合は草むら移動時やDEX逃走時に1点のダメージを負う。

 

・懐中電灯(100~10,000円)

 暗所での目を使用する技能(『目星』『図書館』など)に入るペナルティを軽減できる。安物は光量、駆動時間共にしょぼい。値段が張るものでも光量か駆動時間のどちらかは犠牲になっている場合が多い。システム的にはこの場面で使用可能回数を決めておくと良い。

 

・軍手(100~5,000円)

  安物だと指先の感覚がイマイチ分からないので細かい動作(『鍵開け』『機械修理』など)にペナルティが入る。指先を使う動作の判定時に軍手無しで挑んで失敗した場合は怪我でも負わせると良いだろう。

 

 

【事前情報収集】(スキップ可能)

 情報が古いので、インターネット検索では情報は開示されない。 (グー◯ルアース等で調べることは可能)探索者達が最初から持っている情報は廃村の位置情報だけ。地図帳などの地図で見てみても、目的地は自然豊かな山の中であるということしか分からない。(グーグ◯アース含む)情報開示に利用できる技能としては『図書館』『人類学』歴史』といったところだろうか?地元の村民に聞き込みに行くのも面白い。探索者が調べ方で良いアイデアを出してきた場合は+補正を入れると良い。

技能判定失敗でも分かる情報

 廃村の名前は「香桐村(かぎりむら)」、廃村になったのは30年ほど前。 地方にある村や集落の廃村化自体は1900年頃からの急激な近代化に伴いよくある話だったので珍しくはない。ちなみに目的地までは車で2時間ほど。道自体は存在するようだが…?また、香桐村の近くには香桐沼と呼ばれる沼があり、そこには土着神の伝承が残っている。

技能判定に成功することで追加で分かる情報

  しかし、いろいろと調べていくと(技能判定に成功すると)香桐村が廃村になった原因はダムの開発計画によるものであるということがわかる。しかしバブルが弾けた影響か、ダム開発計画は途中で頓挫している。真偽は定かではないがこの開発計画の頓挫には香桐沼の土着神の祟りが関わっているらしい…

2つ以上の判定に成功するかクリティカルで分かる情報

 香桐村一帯はダム開発計画以降濃霧が発生するようになった。この霧を地元の人々は香桐様の祟り霧と呼び恐れて近づこうとしない。

 

 

【山道】

 2時間ほどの山道。通常時の安全運転なら『運転』×4での判定が必要、自動成功の場合は判定不要。路面は放置されて久しいのか悪天候時は安全運転で『運転』×2の判定が必要そうである。速度を出す場合は成功率はそれぞれ半分になる。

 

 ここでの情報は帰り道への不安を煽ることが目的、路面が舗装されていない(むき出しの土)やガードレールが存在しない等の情報と合わせて伝えると良いだろう。ちなみに山道に入った辺りから携帯は圏外になる。

 

 『目星』やPOW判定をシークレットダイスで振り失敗したPCに対して木々の間で何かが蠢いている等の嘘情報を伝えるのも雰囲気作りに効果的。ただしやり過ぎには注意。

 

 香桐村が近づいてくると急激に数メートル先までしか見通せないような濃いミルク色の霧が発生し始める。濃霧の中での運転は非常に危険なので探索者達は霧が晴れるまで待機するか車を降りて先に進むかの選択をすることになる。『博物学』『化学』×4に成功すると急激な温度低下に伴う霧の発生であると予測がつく。

 

 なお、ここから先のエリアで睡眠を取った場合はグラーキが夢引きをおこなってくる。夢引きの成功率は『グラーキのMPー対象のMP%』成功した場合は対象者は【香桐沼】に向かい、沼の神に仕えなければという催眠状態に陥る。この状態の人物に対して『精神分析』は効かないが、『精神分析(物理)』は有効。KPはこの判定、及び伝達、処理の全てを探索者達に隠してシークレットで行うことを推奨する。ただし、シークレットでおこなった場合は自動的にシナリオがPvPになるので注意されたし。

 

待機する場合

 『目星』『聞き耳』振り、成功した探索者は何かが遠巻きにこちらを窺って(うかがって)いることに気づく【SANチェック0/1】霧が濃いので失敗した探索者はその存在を成功者に教えてもらっても気づけ無い。この時点で車の周りを探索する場合は『目星』-30『追跡』を振る。成功した場合はヌルっとした謎の液体を近くの草むらから発見する。痕跡を追っていく場合は【崖下】へ、この時に追加で『追跡』を振る必要はない。

 さらにそのまましばらく車内で待機していると今度は『目星』不要で全探索者は霧の中から人影が車の様子を窺っている事が分かる【SANチェック1/1d3】どうやら徐々に車に近づいてきているようだ…

 →逃げる 『ナビゲート』×2、バラバラに動かれたくない場合は一番DEXの高い者に代表して振らせる

   →成功 【香桐村】

   →失敗 1d6点のダメージ(『跳躍』で無効化可能)を受けながら【崖下】

 →戦う 5体ほどのグラーキの従者と戦闘開始

   →勝利 辺りは静寂に包まれる…

   →敗北 ミンチになっていない者は応急手当を施されて【香桐沼】

 

徒歩で先に進む場合

  数メートル先さえろくに見えない濃霧の中を少し進んでいくと【香桐村】と思しき廃村に到着する。

 

車で先に進む場合

  普通に事故る。搭乗者は全員1d6点のダメージ(シートベルト未着用者は2d6点)を受けて【崖下】へ。体力の半分以上が減った場合はしっかりショックロールをすること。

 

  

【香桐村】

 四方を山に囲まれた10軒程の古びた日本家屋が立ち並んでいる村…というより集落跡といった方が正確だろうか?『考古学』『博物学』『歴史』のいずれかに成功することで建物が30年前に廃村になったにしては手入れが行き届いていることが分かる。また、村内を探索していると奥へと歩いていく人影を目撃する。人影の後をつけるなら【ダム工事跡地】へ。

 

 この場で探索を続けるなら恐らく適当な家屋へと歩みを進めることだろう。家屋の中は埃が積もっており、カビた臭いがする『目星』『追跡』に成功することで家屋の床に複数の足跡を発見する。足跡は奥の部屋と外とを複数回、もしくは複数人で出入りしていることが分かる。

 

 しかし、足跡が続いている奥の部屋への扉は鍵がかかっているようで入ることができない。力づくで開けるなら『STR×5』、もしくは各種攻撃技能で10点分のダメージを与える。この力づく判定は何度でも挑戦することが可能だが、判定に失敗するたび(攻撃の場合は壊しきれないたび、ただし道具を使用している場合は道具がダメージを肩代わりする)に1点のダメージを受ける。ピッキングを試みるなら『鍵開け』『機械修理』、または『歴史』の判定で開けることができる。

 

 奥の部屋に入ると体に纏わり付くようなジメッとした湿気が濃くなる。この部屋は倉庫に使われていたようで雑多に物が積み上げられており、ゴチャゴチャとしている。目星』に成功した場合は地下道への隠し扉を発見できる。地下道を進む場合は【崖下】へと通じている。

 

 探索に入った建物から外に出た場合は周囲を10人ほどの村民(グラーキの従者)に取り囲まれる。対話は不可能。村民たちは手に鎌や鍬といった農具を持ち、無言でジリジリと迫ってくる。このタイミングで探索者の知人が「おお!お前たち無事だったのか!良かった…心配したんだぞ!」と村民にフラフラと近づいていく。探索者がアクションを起こさないなら知人は殴られて気絶する。ここで知人を放置いた場合は知人もグラーキの従者になる(目撃時にSANチェック1/1d6)

 →逃げる 『DEX×10』(知人を担ぐ場合は『DEX×5』)

   →成功 【崖下】

   →失敗 1d6点のダメージ(『跳躍』で無効化可能)を受けながら【崖下】

 →戦う 10体ほどのグラーキの従者と戦闘開始

   →勝利 辺りは静寂に包まれる…

   →敗北 ミンチになっていない者は荒縄で両手を縛られて【香桐沼】

 →無抵抗 荒縄で両手を縛られ【ダム工事跡地】を通り【香桐沼】へ連れて行かれる。道中で脱出する場合は『DEX×5』成功で【崖下】へ、失敗した場合はボコボコに殴られる(2d6+2点のダメージ)

 

 

【崖下】

 香桐村の地下道からやって来た場合以外は『目星』に成功することで洞窟を発見する。この洞窟は【香桐村】の民家に繋がっている。

 

 崖下には古びた祠が鎮座している。『日本語』の半分もしくは『歴史』に成功することでこの祠が「香桐様」の物であることが分かる。また、祠の古さから察するにこの祠は30年ほど前に建てられたものだということが分かる。

 

 祠に対して助けを請った場合は風鈴のような澄んだ鈴の音のような声で「強き浄化の光を持ち、輪廻の輪に背きし者を罰せよ、その後また訪れるが良い…(強い光を当ててグラーキの従者を達を倒せ、その後もう一度ここに来てね)」と一度だけ聞こえてくる。

 

 その後グラーキの従者を1体以上倒してから祠に近づくと今度は「産まれかけの亀(瓶)の牙を持ち、沼に潜む反魂の根を狩れ(ダム工事跡地で武器を調達してグラーキを倒せ)」と聞こえてくる。

 

 グラーキの従者を探索者の人数以上倒してから近づいた場合は呪文【グラーキの退散】を一番POWの高い探索者が習得する。

 

【グラーキの退散】(オリジナル呪文)

 詠唱者は発動時に1POWと1d6点の正気度をコストとして支払う。また、発動には対象であるグラーキを目視した状態である必要がある。呪文自体は自動成功する。呪文の詠唱が終わるとグラーキのいる湖と香桐沼の接続が断ち切られ、グラーキは目の前から姿を消す。ただし、グラーキの従者はそのままである。

 

 それ以降は祠に何をしても一切反応はない。祠を開いた場合は僅かな温かみが残っているだけで中は空である(SANチェック1/1d3、祠を開いた場合はさらに追加で+1)

 

 この一帯は濃霧と森に囲まれており、崖や段差も多いので大変危険である。それでも霧の中に進んでいくのなら『ナビゲート』に成功すれば【ダム工事跡地】に、失敗した場合は【香桐沼】に付く。

 

 

【ダム工事跡地】

  濃い霧に覆われた工事現場跡地。ショベルカーやダンプカーなどの重機がそのまま放置されている。長年放置されてしまっているので操作する場合には、しかるべき工具がある状態で『機械修理』に成功した後『重機操作』もしくは専用の『運転技能』を使う必要がある。この作業には数時間から数日がかかる。また、『化学』『電気修理』に成功することで工事現場から大量の発破剤(ダイナマイト)を見つけることもできる。

 

 奥に進んでいくと【香桐沼】へ。

 

 

【香桐沼】

  グラーキの潜む沼、濃霧の発生源。沼に近づくとさざ波とともにグラーキがその姿を現し襲い掛かってくる。ココらへんについてはルルブを参照した方が早い。用意してあるグラーキを倒す方法以外にも探索者が良い方法を思いつくかもしれないので、その時は探索者の発想を優先してあげたい。

 

用意してあるグラーキを倒す方法

重機で蹴散らす
ダイナマイトで蹴散らす
グラーキの退散を唱える

 

 

【真相】

 香桐村は元々は平和な集落だった。しかしダム工事の際に偶然掘り当てた水脈とグラーキの住む湖が通じてしまい作業員も村人も次々と襲われ廃村になった。当時は工事会社や近くの村で問題にこそなったが、香桐様の祟ということで落ち着き「触らぬ神に祟りなし」という結論が出たため放置することになった。

 そして現代、探索者の知人一行が廃墟探索で訪れたがグラーキの従者に襲われる。知人だけがなんとか逃げ出すも、知人は仲間のことが心配で探索者と一緒に戻って様子を見ることに…

グラーキ≠香桐様=ヴォルヴァドス

 

 

【付録:怪物データ】

グラーキの従者 

STR   3d6

CON  3d6×2

SIZ    2d6+6

INT    2d6+6

POW    3d6

DEX  1d6

 

攻撃方法

組み付き 20%

小鎌   40% 威力1d6+1+db

 

技能

忍び歩き 35%

 

特殊

 正気度の残っていない全てのグラーキの従者とグラーキ自身は意識、記憶を共有している。

 

正気度喪失

無し(グラーキの従者に成り立ての者)、1/1d8(グラーキの従者として長年を過ごした者)、1/1d10(緑の崩壊による死亡を目撃した場合)

 

※緑の崩壊

長年(60年ほど)を過ごしたグラーキの従者は強い光を浴びると1d10点のダメージを即座に受け、それ以降永続的に1時間毎に1d6点のダメージを受ける。香桐村の周辺には濃い霧が立ち込めているので日中でも問題なく動けるが、強力な懐中電灯などで照らすと緑の崩壊を引き起こすことは可能。

 

 

グラーキ

STR   40

CON  60

SIZ    90

INT    30

POW    28

DEX  10

 

攻撃方法

トゲ 100% 威力7d3

 

本体は装甲40耐久力75、無尽蔵にあるトゲは一本ごとに4点の装甲と6点の耐久力を持つ

 

正気度消失

1d3/1d20

 

 

 

当サイト上のシナリオは全てフィクションです。実在するいかなる人物・団体・思想等とも一切関係はありません。